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山内社長「遊び方にパテントは無い」→その7年後「市場の独占は必要」 [レビュー]

【カオス通信】インベーダーゲームが現代に与えたもの (from Livedoorニュース)
ルポルタージュ にっぽん「インベーダー作戦」 (from NHKアーカイブス)

おお!こんな番組が放送されていたとは不覚にも知りませんでした。
インベーダーブームに沸く1979年当時、雨後の竹の子の如く乱立した“インベーダーハウス”の紹介に始まり、コピー業者との訴訟問題、さらにタイトーのみならず任天堂とセガにまで取材を行っているとは、とにかく「素晴らしい」の一言。
文章を読む限り、第一級の映像資料であるように思えますね。どなたか録画してませんか?zipでください(笑)

…などと冗談はさておき、個人的に最大の収穫だったのが次の部分です。

(山内社長)「遊び方にパテント(特許)はないわけです。したがってですね、コピーをしようという気持ちがあればね、一定の時間があればコピーできるわけです。しかもそれに対してですね、適切な手が果たしてあるかと申しますとないわけです。要はですね、そういう考え方を捨てて、これからのアミューズメント業界の発展のためにはですね、むしろ相互にそういうソフトをね、もう公開して、そしてこの新しい、しかも巨大な、そしておそらく衰えることない、インベーダーは衰えても、マイコンを軸にした遊びは栄えていく。これらのものを発展させていくために、当然その秘密とかなんだとかいう考え方を捨ててね、そしてお互いの開発した、そういう優れたものを交流していくと。そういうことが望ましいんであるわけですね」

任天堂元社長の山内溥氏の「遊び方にパテントはない」については、Wikipediaでも言及されているほど有名です。しかし、その発言の全文を読んだことは、恥ずかしながら今まで一度もありませんでした。
僕はてっきり、ヒット商品の二番煎じを開き直って恥じないような、「苦し紛れの言い訳」だと理解していました。実際の山内氏の真意は、「ソフトウェアというものはコピーを防ぐことができない。ならば、いっそのことオープンにして業界を盛り上げようよ」という理屈だったわけですね。
ただし、その後の歴史を知る我々からすると、これは任天堂にとって皮肉な発言に聞こえてなりません。

なにしろ当時は、OSとかミドルウェアとかライブラリとか存在せず、ましてメーカー間の垣根を越えた技術交流も考えられなかった時期です。「優れた技術やアイデアは共有すべし!」とする山内氏の発想はあまりにラディカル過ぎました。
また、『スペースインベーダー』自体、79年末にはブームが収束してしまいます。さらに、任天堂が80年に発売した携帯電子ゲーム機「ゲーム&ウォッチ」は空前の大ヒット商品となったものの、玩具メーカーの大量参入によりわずか1~2年で市場が飽和する事態となりました。
確かに「技術やアイデアのオープン化」は、短期的には業界を活性化させるかもしれません。しかし同時に、志の低い「後追い商品」の氾濫を招きかねない諸刃の剣でもあるのです。

「遊び方にパテントは無い」と山内氏がNHKのインタビューで述べた7年後の1986年、任天堂はファミリーコンピュータで日本の家庭用ゲーム市場を制していました。
そして、サードパーティーとの間の過酷なライセンス契約の是非を問われた山内氏は次のように答えています。

ゲーム・ソフトをつくれる技術者というものは、たくさんいます。しかし、本当に才能の豊かな、経験を持った有能な人はきわめて少ない。優秀なゲームをつくれる人が少ないということは、くだらないゲームなら、つくる人が大勢いるということです。そんな人に市場を荒らされたら、育つものも潰されてしまう。各メーカーが競争になればなるほど、どうしても多作に走り、ソフトの種類で勝負しようということになる。そうなると、似たようなくだらないゲーム・ソフトが市場に氾濫する。駄作が多く出回ると、消費者は不信感を持つようになる。そうなったら、娯楽市場なんてアッという間に崩壊します。駄作で市場を崩壊させないためにも“独占”しなければならなかったんです。
「任天堂商法の秘密」 高橋健二 祥伝社(86年)


もちろん、94年にプレイステーションが登場するまで長く続いた「任天堂体制」に対して、未だに賛否両論の声があることは承知しています。
しかし同時に、山内氏が「技術のオープン化」から「市場独占」へと態度を大きく改めた点については、80年代当時いまだ未熟であった家庭用ゲーム機市場を大きく育むための止むに止まれぬ決意であったように僕には思えるのです。


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タグ:ゲーム
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mt

覚えてらっしゃるかわかりませんが、ご無沙汰しております。
先日のNHKアーカイブスに対するloderunさんのコメントが必ず、入ると思ってました。
某国内動画サイトにアップされてたんで、また、ご覧になられたら感想を伺いたいものです。(loderunさんのキリクチでズバッと)
では。

by mt (2008-03-25 15:43) 

loderun

おひさしぶりです。もちろん覚えていますよ。
突然blogを閉鎖されたのは並々ならぬ理由によるものとお察しします。もしも再開される予定がありましたら、是非ともお教え下さい。

あと、ニコニコ動画はいまだにアカウント持ってないんですよね。せっかくだから入会すべき?
by loderun (2008-03-27 11:23) 

peace68

駄作の氾濫を防ぐために市場を独占したとは知りませんでした。
by peace68 (2011-06-20 01:23) 

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