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『マリオブラザーズ』の元ネタは『ジャウスト』? (その2) [レビュー]

その1の続きです。

◆『バルーンファイト』
『バルーンファイト』は任天堂より発売されたアクションゲームです。
一般的には、85年に発売されたファミコン版が有名ですが、実はアーケードゲームとしてもリリースされています。開発元はHAL研。製作には任天堂現社長の岩田聡氏、そして故横井軍平氏が携わっていました。

『バルーンファイト』のゲーム内容については、周知のことかと思いますので本稿では割愛します。問題は、『バルーンファイト』と『ジャウスト』との関連性です。
実はHAL研は『バルーンファイト』開発以前に、『ジャウスト』のファミコンへの移植作業に着手し、既に完成までこぎつけていたらしいのです。

何故、『ジャウスト』の発売が中止されたのか?
その理由は寡聞にして知りませんが、推測は可能です。

当時、家庭用機における『ジャウスト』のライセンスは、アタリが取得していました。
そして任天堂は、日本でファミリーコンピュータが発売された83年に、アタリに対して"日本国外でのファミコンの販売権を認め、その見返りに任天堂はロイヤリティを受け取る"旨の提案を行っていた事実があるそうです。

結局、アタリとの交渉はまとまりませんでしたが ――― その方が賢明であったことを我々は知っています ――― 以上の経緯からFC版『ジャウスト』は、アタリとの交渉が成功した場合を見据えて「見切り発車」的に開発されたのではないかと僕は考えます。

ともあれ『バルーンファイト』は、お蔵入りとなった『ジャウスト』のアレンジ作品として世に出ることになりました。アーケードでの反響はわかりませんが、ファミコン版については「初期タイトルの傑作」として多くのゲームファンに支持されています。


◆『ジャウスト』の評価
『バルーンファイト』に遅れること2年、87年10月30日にFC版『ジャウスト』はHAL研よりようやく発売されます。
『ドラゴンクエストⅡ』(同1月26日発売)が一大RPGブームを巻き起こす中、『ジャウスト』のような“時代遅れのアクションゲーム”が話題に上る筈がありません。結果、我が国では海外ゲームを知るコアなファンぐらいにしか、省みられることはありませんでした。

しかしアメリカでは、状況は全く異なります。
かの地では、82年にアーケードゲームとしてデビューした『ジャウスト』。その緻密なグラフィックとスピーディーなゲーム性、そしてなにより「重力」と「慣性」が生み出す独特の操作感は、当時の他のビデオゲームと一線を画していました。
我々が85年のFC版『バルーンファイト』で知った“空を浮遊する楽しさ”を、アメリカのゲームファンはその3年前に既に体験していたのです。

そして、忘れてはならないのは2人同時プレイ ― 「2 CAN PLAY AT ONCE」とインストラクションカードにも謳われている通り、本作は2人での協力プレイが(そして時にはプレイヤー間の殺し合いも)可能であることをアピールしていました。

ただ、家庭用にチューンされたFC版の『バルーンファイト』と比べると、どうしても難易度が高く感じられるのは欠点かもしれません。しかしシステムのオリジナリティと、アクションゲームとしての楽しさを兼ね揃えた『ジャウスト』は、Williamsを代表する作品であることに疑いの余地はないでしょう。



◆『マリオブラザーズ』との共通点
もっぱら、『バルーンファイト』の元ネタとして紹介されることの多い『ジャウスト』ですが、言われてみれば『マリオブラザーズ』との共通点もいくつか見出すことが出来ます。


 
■(左) 『マリオブラザーズ』 (右) 『ジャウスト』


(1) 横視点の固定画面アクションゲームで、ステージが階層構造になっている。

(2) 画面が左右でループしており、通り抜けできる。

(3) 『マリオ』では敵を、“下から突き上げる→逆さになった所を触れる”ことにより倒すが、『ジャウスト』でも“頭上から踏みつける→卵になった敵に触れる”と「2段階のアクション」が必要である点。

(4) 一段階目の攻撃で行動不能になった敵キャラは、時間を置くとより強力な敵として再生する。

(5) 『マリオ』ではファイヤーボール、『ジャウスト』では翼竜と、画面を横切る永久パターン防止キャラが登場する。

(6) 『ジャウスト』ほど慣性は強くないが、『マリオ』でも走っている状態から急に立ち止まるとスリップする。

(7) 二人同時プレイが可能であり、協力して敵を倒す以外に相手を邪魔することもできる。

こうして改めて眺めてみると、KLOVのトリビアにある"二人同時プレイ”の他にも、『マリオ』のゲームデザインには『ジャウスト』が多少なりとも影響を与えているように思えてなりません。

もちろん、上に挙げたフィーチャーは『ジャウスト』以前のビデオゲームにも見られます ― 例えば、二人での協力&対戦プレイが可能なゲームですと、今ぱっと思いついたところで『ウィザード・オブ・ウォー』(81年)とかありますし。
これはあくまで個人的な感想です。

僕は決して『マリオブラザーズ』のオリジナリティを疑っている訳ではありませんし、また『ジャウスト』を「マリオやバルーンファイトの出来損ない」と貶めたいのでもない。
言うなれば、今まで気付かなかった「ビデオゲームの系譜」の一端を識(し)ることができたことが嬉しいのです。こういうのって、自己満足かもしれませんけどね(笑)


◆Williamsのその後
Williamsは、88年にBally・Midwayと経営統合しWMS Industriesが設立されます。これにより、WMSは世界最大のピンボールマシンメーカーとなりました。
組織的にはWMSの子会社となったWilliams。しかし90年代に入ると、事業の柱の一つであったピンボールは低迷、ビデオゲームの方も以前のようなヒット作を生み出すことができませんでした。
その結果、Williamsはビデオゲーム市場から撤退。親会社のWMSの決定を受けてピンボールも廃業し、権利関係は売却されてしまっています。

現在、WMSの主業務はスロットマシンの製造・販売です。Williamsは、そのブランド名を残すだけの存在となってしまいました。

Williamsのレトロアーケードゲームは、今でも世界中の多くのファンに愛されています。
現在では系列会社のMidway名義で、PCはもとより、PS、X-BOX、GC、GBAといったコンソール機用に多くの作品が移植されています。

海外での人気に反し、Williamsのビデオゲームは日本ではあまり発売例がありません。上記の『ジャウスト』の他には、FCでやはりHAL研から『スターゲイト』がリリースされています。
それ以外には、バカゲーファンの間では有名なSFCの『スマッシュTV』がある程度です。


◆終わりに一言
最後の最後に、蛇足ながら一点。
KLOVには、『マリオブラザーズ』のトリビアがもう一つ記されています。

(原文)
The name for Mario's brother, Luigi, who is introduced in this game, came from a pizza parlor nearby the then-new Redmond, Washington headquarters of Nintendo of America called "Mario and Luigi's."

(邦訳)
本作で登場するマリオの弟の「ルイージ」の名は、当時ワシントン州レドモンドのNOAの近所に「マリオ アンド ルイージ」というピザ屋があったことに由来する。

わが国では「類似キャラ」が転じてルイージになったと囁かれることが多いですが、緑の服を着た「彼」の名は ― マリオの名前の起源と同様に ― NOAで考案されたというのが真相です。
皆さんはご存知でしたか?


今回の記事を書くにあたり、下記のサイトを参考にしました。
Wikipedia(英語版)
Tokyo Pinball Organizationホームページ
KLOV (Killer List of Videogames)
バルーンファイトの歴史 (from NECOSTA

(09/11/19) 本文一部訂正
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