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偏愛ゲーマー的書評 「洋ゲー通信 Airport 51」 [レビュー]

洋ゲー通信 Airport 51

洋ゲー通信 Airport 51

  • 作者: 須田 剛一
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2008/09/20
  • メディア: 単行本
ファミ通の連載コーナー「洋ゲー通信 Airport 51」を一冊にまとめた単行本。語り手はグラスホッパーの須田剛一氏と、"洋ゲー伝道師"のマスク・ド・UH氏です。
FPS、レースゲーム、音楽ゲーム、ホラーゲーム、そしてアタリVCSにジャガーなどなど広範なジャンルに渡って、日本では馴染みが薄い洋ゲーの世界を紹介しています。
須田氏とUH氏の軽妙なトークは読んでいて楽しく、何度も噴き出してしまいました。また、個人的にプロレスゲームやベトナム戦争ものに疎いこともあり、参考になった部分も多いです。

それだけに、不正確な記述が散見されるのが惜しい。
連載を逐一チェックしていなかったのですが、とりあえず今回の単行本で気付いた箇所をいくつか挙げておきます。

12ページ・・・現Atari inc.の社名を、ATARI GAMESと誤記。また、『マーブルマッドネス』、『ハードドライビン』の権利を現在保有するのはアタリではなくミッドウェイ。
41ページ・・・「アタリがサードパーティーに(VCSの)権利を乱発した」との説明は誤り。そもそも当時はライセンス制度が未整備だった。
48ページ・・・ワーナー・コミュニケーションズは、「ワーナーブラザーズの当時の名称」ではなく親会社。
55ページ・・・『BMX XXX』の発売は02年11月。『DOA エクストリーム・ビーチバレー』(03年1月)よりも前。
81ページ・・・ホラーをテーマにした家庭用ゲームとしては、『Haunted House』(82年)という先例が存在する。
159ページ・・・ATARI7800の発売は86年。


尚、以前に当blogで指摘したことのあるアタリショック関係の誤りは、今回の単行本で訂正されていました。
(関連記事) ○ファミ通のアタリVCS特集 「30年目のアタリVCS」

・・・もしかしてファミ通の関係者の方、僕の記事をご覧になりましたか?(笑)


■実在するロックバンドが登場した、史上初のゲームは?

本書の中で「バンドが登場するというスタイルの初のゲーム」として、エアロスミスをフィーチャーした『レボリューションX』(94-96年)が紹介されています。確かに、実写や生音を採用したリアル調の作品という意味ではそうかもしれません。
しかし、「実在のバンドが登場するゲーム」としては、既にアタリVCSで先例が存在しました。


journey_escape1.jpg journey_escape2.jpg
○『Journey Escape』
機種 : ATARI VCS(2600)
メーカー : Data Age
リリース : 1982年

Journey Escape (from 英語版Wikipedia)
Journey Escape (from AtariAge)

『ジャーニー・エスケイプ』はVCSの泡沫サードパーティーとして知られるデータエイジ社より82年に発売されました。
タイトル名からわかるようにアメリカのロックバンド、ジャーニーの大ヒットアルバム『エスケイプ』をモチーフにしています。

ゲームの内容としては、ジャーニーのメンバー(ただし5人ともグラフィックは全く同じ)を操作します。彼らの行く手を邪魔するグルーピーやパパラッチ、悪徳プロモーターをうまく避けて、制限時間内に次のコンサート会場へと向かう宇宙船(パッケージのイラストで飛んでるやつ)に乗り込まなければなりません。
はっきり言って音楽ゲームというよりも、ただの単純なアクションゲームですね(笑)


■画期的なアーケードゲームがお蔵入りになった理由

ちなみにデータエイジ社が取得していたジャーニーのゲーム化権は、後にバリー・ミッドウェイ社へ譲渡され、83年に『ジャーニー』というアーケードゲームがリリースされています。

journey_arcade.jpg
Journey (from 英語版Wikipedia)
Journey (from KLOV)

特筆すべきは、ジャーニーのメンバーの顔写真がデジタイズされている点です。
「Supercade: a visual history of the videogame age 1971-1984」によれば、元々ミッドウェイはプレイヤーの姿をその場で撮影し、ゲーム画面に表示することができるアーケードゲームを考えていました。
しかしその試作品が実際にロケーションテストに回されるとすぐに、悪質なプレイヤーがカメラの前で不埒な姿をさらす(要するに下半身を露出する)というトラブルに見舞われたそうです(笑)
結局、ミッドウェイは当初のアイデアを断念せざるをえなくなりました。

こうして『ジャーニー』は、本来プレイヤーを撮影するはずだったデジタイズ技術を別の形で利用した作品となりました。
そして結果的に、ロックバンドのジャーニーは家庭用と業務用の両方で「ゲームに初めて登場した実在のバンド」という栄誉に与っているわけです。
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コメント 3

zentaroh

聖飢魔Ⅱはファミ通的にロックバンドではなくベヴィメタルバンドと認識した証左になりますね。
あと、実在するヘヴィメタルバンドが登場した、史上初のゲームは何なのか気になりますね
by zentaroh (2008-10-07 19:31) 

M_t

ジャーニーが史上初なら日本初はどのバンドなんでしょうか?
オレ的に一瞬 ひらめいて思ったのは、MSXの"チェッカーズのTANTANたぬき"と思ったりしてたのですが・・・
チェッカーズはバンドというよりアイドルグループ的な感じですし。
TANTANたぬきは、映画のゲーム化といったほうがいいかもしれませんね。

by M_t (2008-10-07 20:40) 

loderun

>zentarohさん
あ、いや記事でも書いたように、原文では「リアル調のバンドゲーム」って意味で紹介されてましたので、ロックとヘビメタを区別してるわけではないと思います。
ただ、聖飢魔IIとはナイスなツッコミですね(笑)

>M_tさん
うわ、TANTANたぬきは完全に盲点でした。
もっとも、ゲーム中に登場するのはフミヤだけですので、「バンドゲーム」ではないかな。
by loderun (2008-10-09 17:56) 

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