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“やさしいゲーム”なんかいらない? [namco]

ビデオゲームの楽しさ”を生み出す要素の一つに、エクスプロレーションという概念がある。
exploration ― 直訳すると「探検」、「探索」という意味だ。

僕がこの言葉を知ったのは、セガコミュニティー内に収められた長谷川亮一氏のインタビュー記事からだ。
海外ゲームのローカライズを数多く手がけられた氏の経験に基づき、日本と海外とのユーザーの意識の違いを次のように説明している。

アメリカヨーロッパでは、ほとんど何も情報やヒントがない状態で何かを探し回るのが楽しいんですって。「あれも試した、これも試した、でも先へ進めない……あっ、これだったらどうだろう?……進めた、ヤッター!」という達成感。その“exploration”(≒探索、調査)自体をゲーム性として捉えているんです。

(中略)だけど、同じ“exploration”でも、日本だとヒントがないとゲームを投げ出してしまう人が多い。「ヒントねぇよ、何もねぇよ、わかんねぇ」とゲーム雑誌見たり、今なら攻略サイトで解答を見て「そんなもん、わかんねぇよ!」と結局、放り出してしまったり(笑)

……日本での“exploration”は、ストレスになってしまうんですね。だからナビゲーションや、ヒントの出し方も変えてあげなければならないんです。

…耳が痛い話だ(笑)
レトロゲームファンを自称する僕自身も、最近ではすっかり「親切なゲーム」に慣れてしまっている気がする。

例えば上の漫画で紹介されている『ドルアーガの搭』については、僕はファミコン版で初めてプレイした。ソフトの発売からまもなく攻略本が出版されたこともあり、宝箱の出し方に悩むことはなかった。僕の友人たちもケイブンシャの攻略本を片手にプレイしていたのをよく憶えている。

実は僕は、この『ドルアーガーの搭』はあまり好きではない。
初めから宝箱の出し方を知ってしまっていたために、どうしても「理不尽な作業をやらされている」感がつきまとってしまうのだ。

エクスプロレーションに話を戻そう。
実際のところ『ドルアーガの搭』の理不尽さはゲーム史上でもトップクラスであり、極端な例と言えなくも無い。アーケード版を含めて、ノーヒントでクリアできた人は少ないと思う。

けれども、かつてのビデオゲームたちは程度の差はあれど「不親切」なものが多かったのも事実である。そして多くの者が、「不親切」なゲームを甘受していた。
エクスプロレーションがもたらす“達成感”は、レトロゲーマーなら誰でも知っている筈なのだ。

もしも、僕が「攻略法」を知る前にドルアーガに出会っていたのなら、評価は違うものになっていたと思う。

「やさしいゲーム」が溢れる現在の状況を望んだのは、ユーザーである僕たちの側だ。もちろん、今さら全てのゲームが『ドルアーガ』のようになればいいとは微塵にも思っていない。
しかしその結果、「考えて、実行し、謎を解く」という試行錯誤の姿勢がユーザーから失われてしまったのだとしたら、なんと寂しい話だろう。

僕の願いは、ここまで文章を読んでくれたあなたが今より少しだけ ― ほんの少しだけでいいからゲームの「不親切さ」を楽しむ余裕を持ってくれればということだ。
『ドルアーガ』の魅力を知る機会を逃してしまった、或る一人のゲームファンとして…。


出典:「東京トイボックス」 モーニング1月31日号より


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kasokage

なるほど。。
MSX版ハイドライドで攻略本など全く読まずにゲームを進めましたが、
どうしても行き詰ってしまうところがありました。確か”魔法使いの炎を
正面から5発浴びてから倒す”が攻略のカギだと後から知ったんですけど
そんなんわかるかいな!と泣きそうになった経験があります。
でも楽しかった。うーん、僕にとっても耳の痛い話だなぁ。
by kasokage (2006-01-13 09:44) 

Aya

ポリスノーツなんかは総当りでクリア可能ってタイプなので、ある程度は親切なゲームになってますね・・・90年代後半ではもう常識的な感じになってた親切なゲームの形の1つですけど、当時はむしろ「このROMにゲームを入れるにはそんなヒントを入れるだけの余裕がないんだよ!」って言いそうなプログラマーの人を想像したり(笑)


ゲームの話としては、僕は「ある程度不親切な方が楽しい」って思う人で、「考えないゲームが大嫌い」ってへそ曲がりですw
例えば、格闘ゲームなんかをやっていると「攻略パターンは人それぞれ、結局プレイヤーの技術さをどうやって埋めるかを考える必要がある」ってのが根底にあるのでレベル上げでクリア出来るゲームとかが嫌いだったりします(笑)

正直親切なゲームとか言う人には是非とも「アーマードコア2アナザーエイジを新規プレイで達成率103%にする」なり、「アヌビスセカンドエディションで難易度を最大でクリア」とかで十分かと。
アナザーエイジなんか公式にも攻略がありますが、「正直購入してクリア出来たプレイヤーの方が少ない気がする」って位に笑える出来上がりです。
クリア出来た人間は「自分のお気に入りのアセンで攻略」とか新しい方向へと進み、出来ない人間は中古ショップへGo!!(笑)
・・・むしろ「攻略が分かっていてもクリア出来ない悲しさを覚える」って明らかにプレイヤーを選び過ぎなゲームですけどね。

ドルアーガ、アナザーエイジなんかの場合、達成度もそうですけど「印象深いゲーム」ってのが後世に残すべきゲームであって、「映像が綺麗だの声優を使ってるだのってのは正直容量とスペックがありゃ出来るお茶濁し」とそう思っている人です。

というかPSで売れているゲームが全部ライトプレイヤー向けのゲームってのが一番やる気が殺がれる要因でもあり、これはプレイヤーと開発者の双方で生み出してしまった結果なのかもしれませんね。
PSプラットフォームは他と比べて製作が非常に楽だったってのは開発者としては嬉しいかもしれませんけど、企画段階で「出せば売れる」って感じで、気合いの入ったゲームが無いってのも悲しい所でしょうね。


つー訳で、気合いがアホみたいに入りまくっている「ポスタル2」なんて如何デスカ?w
by Aya (2006-01-13 17:45) 

Aya氏、気合入ってんなぁ・・・(笑)。

まぁ僕の場合はゲームっていう「苦労」を金払って買ってるって感じなんで、難しくなきゃ金出した意味がないとか思っちゃう人なんですが。
今の世間は逆なんですよね、金出してんだからちゃんと最後までやさしくサポートしろ、みたいな。
あの、妙に理不尽なヤツとか不親切なゲームをプレイしてすぐなげる人って、根気がないとか飽きっぽいとかじゃなくて、ソレに対する耐性がないのかなぁ・・・なんて思います。
試行錯誤するプロセスから解らないっつーか。
生まれたときからPSとかあったら自然とそうなってしまうのかな、なんて勝手に想像してるんですが(笑)。
by (2006-01-13 22:02) 

loderun

>>kasokageさん
nice!ありがとうございます。
ハイドライドの“3人目の妖精”も、自力で解けた人は少ないでしょうね。僕も結局は雑誌のヒントに頼りました(笑)
ただ、うんうん悩んだ時間って決して無駄ではないと思うんですよね。

>>Ayaさん
アドベンチャーゲームに関しては、「言葉探し」と揶揄されるコマンド入力方式の反省から、コマンド選択方式が生まれた経緯があります。また、現在ではGUIやシナリオ分岐の視覚化、果てはメッセージスキップ可能と至れり尽せりです(笑)
ADVの難易度の低下には、ユーザーインターフェイスの発達という一面がありますね。

Ayaさんが例に出している格闘ゲームやアクションゲームでの「難易度」とは、もっぱら繰り返しプレイによるユーザーの“習熟度”で解決するものです。一方、僕が記事に出した「エクスプロレーション」の場合は、謎解きに至るまでの一回限りの“発想力”が問われるタイプのゲームですね。
最近の作品だと『ワンダと巨像』あたりが、これに該当するかと思います。

ただ、日本での家庭用ビデオゲームのライトユーザー志向は、今後も続くのは間違いないでしょう。難しいゲームがプレイしたいなら、最終的には海外ゲームに頼るしかない?(笑)

>>ののおさん
上の長谷川氏の話でも「海外のユーザーは、なかなかクリアできない方がコストパフォーマンスがいいと思っている部分があって、買ってすぐにクリアできちゃうとメーカーが怒られる」とあるように、結局はゲームに対するユーザーのスタンスが問われているんですよね。
「不親切とうまくつきあえた方が、ゲームをより楽しめると思いますよ?」というのが僕のささやかな提案です。
by loderun (2006-01-16 14:36) 

柾木神威

ドルアーガの塔は、ウチの思い出のゲームでありますが、確かに攻略本がないとクリアの出来ないゲームでしたね。
途中までは自力で出していた(大体30階付近まで)のですが、最終的に攻略本に手を染めてしまいました。(;´Д`)
いや、ほんまにあれは本ないとダメですって!!(笑)
しかし、途中までとはいえそこで培った力は確かに、その後のゲーム攻略の力になっていると思うんですよね。
プレイヤーを育成するゲーム、それがドルアーガだったと思います。
by 柾木神威 (2006-01-24 22:14) 

loderun

>>柾木神威さん
コメントありがとうございます。
『ドルアーガ』はアーケード時代で既に、「宝箱の出し方がわからず、むしゃくしゃして筐体を叩いたら出現した」との伝説があるほどでしたから(笑)
最後に攻略本に頼ったとはいえ、自力で30階とは貴重な経験ですね。

苦労を重ねるからこそ、それを乗り越えた時の達成感が格別なのは、なにもゲームの世界だけではないと思います。
by loderun (2006-01-25 17:48) 

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